調剤併設型ドラッグストア勤務、ひよっこ薬剤師のメモ帳!

薬剤師国家試験に向けた勉強方法や就職に役立つ情報を提供!

“調剤業務のあり方について”がもたらすもの

 

 

こんにちは、ひよっこ薬剤師です。

 

 

皆さん!

2019年4月2日に通知された、“調剤業務のあり方について”はご存じでしょうか? 

(参考画像1,2)


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(画像1)

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(画像2)

 

薬剤師として現場で働いている人であれば内容を知っている方がほとんどでしょう。

 

ですが、現在薬学部に通われている学生の中で

聞いたことがある!

内容を知っている!

といった方は極僅かだと思います。

 

何故、極僅かだといえるのか。

 

それは私が4月以降に参加している会社説明会で、毎回学生にこの通知を知っているか質問をしているからです。

 

まだ一度も、聞いたことがある!と答えた学生に遭遇したことはございません。

(2019年5月18日現在)  

 

その都度、通知の内容を伝えた上で今後薬剤師業界がどう変わっていくのか、自分の想像など交えて学生へお話しております。

 

 

さて、そろそろ本題へ移っていきましょう。

 

 

目次 

~ 概要 ~

調剤業務のあり方についての内容を要約すると、

薬剤師免許を持たない人でも調剤業務を行うことができる、ということです。

 

調剤業務が可能となったものの、いくつかの条件はあります。

 

例えば、

・薬剤師の目が現実に届く限度の場所で実施されること

・調剤した薬剤を服用する患者に危害の及ぶことがないこと

など。

 

ただし、

薬剤師以外の者が軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を直接計量、混合する行為は今後も引き続き薬剤師法に違反します。

 

 

 

 

~ 今までの調剤業務 ~

これまでグレーゾーンとして扱われることが多かった医療事務による調剤補助行為。

 

会社によっては、過去に医療事務による薬の取り揃えなどを行わせているところもあったでしょう。

 

今回の通知によって、今後は公に調剤業務として実施が可能となりました。

 

この通知が現場に何をもたらすのか...

 

 

~ 対物業務から対人業務へ ~

以前厚生労働省が発表した、患者のための薬局ビジョンというものがあります。

 

そこには、

患者に選択してもらえる薬剤師・薬局になるため専門性やコミュニケーション能力の向上を通じ、薬剤の調整などの対物中心の業務から患者・住民との関わりの度合いの高い対人業務へとシフトを図る

との記載があります。

 

対物業務から対人業務へと、力の重きを置くポイントのシフトを図っておりました。

 

ですが実際の現場では、院外処方件数が増えたことで1店舗の抱える処方せん枚数が増えていきました。

 

対人業務を心掛けるよう各社それぞれ力を入れてはいったものの、日々の最低限の業務をこなすことで精一杯なのが現実です。

 

そういったことから、厚生労働省は現在の医療現場、特に調剤薬局,ドラッグストアでは対人業務を十分に行うことができないと判断したと考えます。

 

薬剤師の業務負担が少しでも減ることで、一人の患者に対応できる時間が確保できると考えこのような通知をした推測します。

~ 人件費 ~

調剤業務に制限はあるものの、薬剤師以外でも行うことが可能となりました。

 

これが実際の現場でどのようなことをもたらすのか、人件費の観点で考えてみます。

 

今のご時世、薬剤師業界だけではなくどの企業でも人件費の問題が取り沙汰されおります。

 

会社の経営陣としては、この通知はありがたいものとして捉える方もいらっしゃるでしょう。

 

医療事務など薬剤師よりも人件費のかからない人を雇い、薬剤師は一人当たり40枚(2019年5月現在)の制限ギリギリの人数を配置。

 

こうすることで今まで膨らんでいた人件費を最小限に抑えることが可能です。

 

もし会社経営陣がこのような考えで薬剤師、医療事務などを配置すると人件費は抑えられ売上、利益は上昇することでしょう。

 

ですが、厚生労働省の目指す対人業務が遠退く可能性もあります。

 

 

~ 業務負担 ~

2019年5月現在、40枚につき薬剤師一人を配置する必要があります。

 

現場で働いている方であれば、40枚対応することがどれだけ大変なのかわかると思います。

 

大変な要因として挙げられるのが、服薬指導後の薬歴記載です。

 

会社によって薬歴の記載方法などが異なります。

 

中には4行SOAPと呼ばれる、各項目1行で済ましているところもあるでしょう。

 

次の服薬指導時へのバトンとなるよう、丁寧に書くよう指示があることもあるでしょう。

 

どっちみちこの薬歴記載業務があるため、調剤業務の負担が減ったところで薬剤師の総合的な業務負担にはなっておらず、対人業務に力を入れることができるのか疑問が残ります。

 

今後、この40枚規定にもメスが入ることは公言されております。

 

40枚以上になるのか、40枚以下になるのかはまだ不鮮明ですが、調剤業務を薬剤師以外が行えることになったため、40枚以上に増えるのではないかと私は考えます。

 

もしそれが現実となった場合、会社の方針によっては薬剤師が今よりも厳しい労働環境になることもあるでしょう。

 

 

~ 今後について ~

医療業界、特に薬剤師の働き方についても今後も目まぐるしく変化していくことでしょう。

 

どんな環境になったとしても生き残れる薬剤師へと、今のうちに力を蓄えて置く必要があります。

 

 

学生にとってもこの通知は会社を選ぶにあたり重要なものとなっております。

 

就職予定の会社、就職を考えている会社がこの通知を受け、どのような判断を下すのかも情報収集する必要が今後は出てきます。

 

後悔の無い選択を行うためにも、しっかりと情報収集をしましょう。