薬剤師国家試験の出題問題で症例解析!③
こんにちは、ひよっこ薬剤師です。
前回のブログ更新からだいぶ日が経ちましたが、
過去問から学ぶシリーズ、第3弾です!
実習先が忙しく、指導薬剤師や勤務薬剤師たちが中々相手してくれない...
そんなお困りの声も聞くためこの企画をスタートさせ、今回で3記事目となりました。
今回も過去問の症例を用いて、日々の業務中どのようなことを考えながら調剤,服薬指導に当たっているのかを書いていきます。
※エビデンスなど詳しくないため、薬剤師国家試験に対応できるレベルの処方解析となっており、専門的な情報を提供できるとは限りません。
目次
~ 第103回薬剤師国家試験 問270 ~
ある日、このような処方せんを預かったとします。
よく見かけそうな、感冒症状に対しての処方です。
この処方を見たとき私だったらどのようなことを考えるか...
整形外科に通っていないか🤔
お通じの調子はどうだろう🤔
服用中の薬はあるか🤔
今回の処方では、このようなことを考えます。
何故このような考えに至ったのか、説明していきましょう。
~ 処方薬 ~
シプロフロキサシン : ニューキノロン系抗菌薬
→Ⅱ型トポイソメラーゼであるDNAジャイレースおよびトポイソメラーゼⅣ阻害しDNA合成を阻害する。
カルボシステイン : 去痰薬(気道粘液調整薬)
→喀痰中のシアル酸、フスコースの構成比を正常化し粘液を調整する。
アンブロキソール : 去痰薬(気道潤滑薬)
→気道粘液の分泌促進作用と線毛運動亢進作用により痰の喀出を促す。
チペピジン : 鎮咳薬
→延髄咳中枢を抑制することで、咳を抑える。また、気管支腺分泌亢進作用により去痰作用ももつ。
モンテルカスト : 抗アレルギー薬
→ロイコトリエン受容体を遮断し、気管支平滑筋の収縮を抑制する。
~ 処方解析 ~
国家試験では、シプロフロキサシンとチザニジンとの併用禁忌を問う問題が出題されます。
そのため実臨床でも整形外科などからチザニジンが処方されていないか、薬歴やお薬手帳で確認することが必要です。
またニューキノロン系の抗菌薬は、アルミニウムやマグネシウムといったミネラルと難溶性のキレートを生成することで有名です。
薬局ではお通じの調子が優れず、酸化マグネシウムを服用されている高齢者の方々をよくお見かけします。
今回はシプロフロキサシンが処方されていますが、他のニューキノロン系の抗菌薬が処方された際はお通じの調子、また胃の調子を一緒に確認しておく必要があるでしょう。
最後に、チザニジンだけではなく、他の併用薬も確認する必要です。
シプロフロキサシンは、CYP1A2で代謝される薬剤の代謝を阻害し血中濃度を上昇させてしまう恐れがあります。
そのためシプロフロキサシンが処方されていたら、添付文書と併用薬を照らし合わせて患者さんが服用しても影響が無いか、確認してください。
~ 服薬指導 ~
この処方の患者さんを服薬指導するにあたり、患者さんからどのような情報収集をするか記載します。
※必ずしもこれが正しいというわけではないので、参考程度にしてください。
・既往歴
・症状、経過、受診理由
・他科受診、併用薬の有無
ニューキノロン系が処方されていた場合、患者さんの年齢もチェックしておくことがいいでしょう。
年齢や既往歴から腎機能が低下している場合があります。
腎排泄の薬剤なので服用しても問題ないか、頭の片隅に置いておきながら患者さんから情報収集に当たりましょう!
次に、どのような症状に対して処方されているか患者さんから確認し、その処方が妥当なのか考察してみましょう。
妥当であれば薬剤の説明、用法の説明をします。
最後に、シプロフロキサシンが併用禁忌、併用注意が多い薬剤なので再度患者さんの口から併用中の薬剤は無いか確認しておきましょう。
お薬手帳に貼り忘れている、という可能性も捨てきれませんので...
制酸剤など服用していた場合は、ニューキノロン系の薬剤との服用を2時間以上空けるよう説明することが必要です。
~ 最後に ~
今回は実習中に携わりそうな感冒症状に対しての処方、またニューキノロン系抗菌薬の注意事項を挙げてみました。
薬剤師の先生方には味気ない内容だったことでしょう。
今後も、国家試験に活かせるような必要最低限の処方解析を記事にしていこうと思います。