薬剤師国家試験の出題問題で症例解析!②
こんにちは、ひよっこ薬剤師です。
過去問から学ぶシリーズ、第2弾!
実習先が忙しく、指導薬剤師や勤務薬剤師たちが中々相手してくれない...
そんなお困りの声も聞くためこの企画をスタートさせました。
第1弾はこちら↓
この記事投稿後、アクセス数が伸びたので、しばらくは続けてみようかと思います!
※エビデンスなど詳しくないため、薬剤師国家試験に対応できるレベルの処方解析となっており、専門的な情報を提供できるとは限りません。
目次
~ 第103回薬剤師国家試験 問252 ~
ある日、このような処方せんを預かったとします。
この処方を見たとき私だったらどのようなことを考えるか...
狭心症か心筋梗塞の既往があるだろう🤔
ステント留置しているかもしれない🤔
今回の処方では、このようなことを考えます。
何故このような考えに至ったのか、説明していきましょう。
~ 処方薬 ~
リシノプリル : ACE阻害薬
→ACEを阻害することでアンギオテンシンⅡの生成が抑制される。また、アルドステロンの分泌を抑制することで血圧を降下させる。
アスピリン腸溶錠 : 抗血小板薬
→血小板の働きを抑え、血流の速い血管での血栓を予防する効果がある。
ボノプラザン : K+イオン競合型アシッドブロッカー
→K+イオンに競合的する形でプロトンポンプを阻害し、酸分泌を抑制する。
ジルチアゼム : Ca2+チャネル遮断薬
→血管平滑筋以外にも心筋のCa2+チャネルを遮断することで、心筋収縮力と心拍数を低下させる。
ロスバスタチン : HMGーCoA還元酵素阻害薬
→HMGーCoA還元酵素を阻害することで、肝臓内のコレステロールが低下。肝臓へLDLコレステロールの取り込みが促進されることで、血清コレステロールも低下する。
ニコランジル : 硝酸薬
→NO遊離し、後負荷及び前負荷を軽減させる。また、K+チャネル開口することで、最終的に血管を拡張させる。
硝酸イソソルビド : 硝酸薬
→NO遊離し、後負荷及び前負荷を軽減させる。
~ 処方解析 ~
第1段もたまたま同じような処方内容だったため、重複するようなことが出てきます。
理解できている方は、所々飛ばし読みしてください。
今回、狭心症か心筋梗塞の既往患者であることと仮定して考えます。
前置きしたところで、処方解析していきます!
低用量のアスピリンは、血小板凝集を抑制することで血栓を作りにくくする。
このようなことから、一度血管を詰まらせてしまった患者が再発を抑制する目的で服用していることが多い。
また、こういった血管イベントを引き起こした患者は、血圧のコントロールも重要になる。
それに対してリシノプリル、ジルチアゼムが処方されていると考えることもできる。
冠動脈が狭まることで胸痛など生じる。
ニコランジル、硝酸イソソルビドは冠動脈を拡張させる目的で処方されることが多い。
低用量アスピリンは、上部消化管出血などを引き起こすリスクもあることから、ボノプラザンなどを併用することが多い。
~ 服薬指導 ~
この処方の患者を服薬指導するにあたり、どのような情報収集をするか記載します。
※必ずしもこれが正しいというわけではないので、参考程度にしてください。
・既往歴等(新患の場合)
・血液検査、血管イベントを引き起こした部位の検査、心電図検査の有無
・血圧推移
・心臓周辺の違和感(痛み等)の有無
・副作用の有無
抗血小板薬を服用していることから、出血傾向にあるかのモニタリングは必須。
出血傾向にあるかは、鼻血の出やすさや青アザで確認することもできます。
降圧剤や硝酸薬を服用しているため、血圧のモニタリングを行うことも必要です。
血圧の数値が安定していても、めまいやふらつき、立ちくらみ等を生じているケースもあるためそういった副作用を生じていないかの確認もすることが望ましいです。
貼付薬も処方されており、かぶれが生じないよう、貼付部位を毎回少しずつずらしているかなど確認することも望ましいです。
貼付部位も胸部、上腹部、背部であればどこに貼っても効果はほぼ同等のため、初めて使用する患者には説明必須です。
~ 問題演習 ~
リード文を読むと、服薬指導の注意点で適しているものを選びなさいという問題であることがわかります。
ここまで読んでくださった方であれば、どれが正解の記述であるのか選ぶことができることでしょう。
正解は、1.と4.
ACE阻害薬の有名な副作用で空咳があります。
咳が続く場合副作用の可能性も考えられるため、1.の対応は正しいです。
降圧剤や硝酸薬が処方されていることから、血圧が過度に降下する可能性があります。
それにより頭痛、立ちくらみを生じるため、4.の対応も正しいです。
硝酸イソソルビドのテープ剤も、上記で貼付部位は上腹部や背部でもよいため必ずしも心臓周辺に貼る必要はないです。
~ おわり ~
今回もザックリとした症例解析でしたが、この程度を把握しておくことで、似たような問題が出題されたときに対応できます。
また、実践問題を見ていると、患者背景が虚血性心疾患の既往をもつパターンが非常に多いです。
虚血性心疾患の処方パターンを理解できていれば、多くの問題に対応することが可能性でしょう!