薬剤師国家試験の出題問題で症例解析!①
こんにちは、ひよっこ薬剤師です。
今回から薬剤師国家試験に実際に出題された問題を利用し、症例解析や知識の蓄積方法について書いていきます!
実習中に指導薬剤師や勤務薬剤師たちが中々相手してくれない...
そんなお困りの声も聞くためこの企画をスタートさせました。
※エビデンスなど詳しくないため、薬剤師国家試験に対応できるレベルの処方解析となっており、専門的な情報を提供できるとは限りません。
目次
~ 第103回薬剤師国家試験 問246 ~
実際の医療現場でこの処方を見たとき私だったらどのようなことを考えるか...
心筋梗塞の既往があるだろう🤔
または、脳梗塞などの既往か...🤔
血糖コントロールもしている🤔
このようなことをパッと思い浮かべます。
何故このような考えに至ったのか、説明していきましょう。
~ 処方薬 ~
アスピリン腸溶錠 : 抗血小板薬
→血小板の働きを抑え、血流の速い血管での血栓を予防する効果がある。
シタグリプチン : DPPー4阻害薬
→DPPー4はインクレチンの分解に関係する酵素。これを阻害することにより、血糖依存的にインスリン分泌を高め血糖値を低下させる効果などがある。
オルメサルタン : ARB阻害薬
→アルドステロン受容体を阻害することで、血管収縮およびアルドステロン分泌を抑制する効果がある。
ラベプラゾール : PPI阻害薬
→H+,K+-ATPase(プロトンポンプ)を非可逆的に阻害し持続的に胃酸分泌を抑制する効果がある。
~ 処方解析 ~
低用量のアスピリンは、血小板凝集を抑制することで血栓を作りにくくします。
このようなことから、一度血管を詰まらせてしまった患者が再発を抑制する目的で服用していることが多いです。
また、こういった血管イベントを引き起こした患者は、血圧のコントロールも重要になってきます。
それに対してオルメサルタンが処方されていると考えることもできます。
低用量アスピリンは、上部消化管出血などを引き起こすリスクもあることから、ラベプラゾールやH2ブロッカーなどを併用することが多いです。
一歩踏み込んでみましょう!
・特に動脈血の血管を詰まらせてしまった場合に低用量アスピリンを服用している場合が多い。
・詰まらせてしまった直後にステントという器具を留置した場合、DAPT療法といった抗血小板薬2剤併用療法を選択する場合が多い。
薬学部の講義をちゃんと受けていれば、シタグリプチンは糖尿病治療薬と判別できることでしょう。
そのため、糖尿病の既往があることも想像できます。
~ 服薬指導 ~
この処方1の患者を服薬指導するにあたり、患者からどのような情報収集をするか記載します。
※必ずしもこれが正しいというわけではないので、参考程度にしてください。
・既往歴等(新患の場合)
・血液検査、血管イベントを引き起こした部位の検査有無
・血圧推移
・副作用有無
他にもたくさん確認したい項目がありますが、実際に指導するにあたっては1回に数個の質問が限度になってくることが多いです。
(他の患者対応も控えていたりするため)
今回聴き取りできた内容は薬歴にしっかりと残し、今回確認できなかった内容を次回確認するよう引き継ぎすればよいのです!
~ 問題演習 ~
問246のリード文を読むと、併用により強い血圧降下を引き起こす薬剤を選びなさい、と解釈できます。
ここからは各薬剤の作用機序を知っている必要があります。
※今回は機序を省略。
正解は1.ナフトピジル。
問題演習を行う際は、ナフトピジルだけで満足してはいけません!
前立腺肥大症に用いる治療薬のうち、α1受容体遮断作用をもつ薬剤は他にあるため、そういった薬剤も一緒に抑えておきましょう。
また、他の選択肢の作用機序も確認していくことは必須です。
同様に他の選択肢の同種同効薬も余裕があれば確認しましょう!
前立腺肥大、前立腺癌について記載↓
~ おわり ~
このようなザックリとした処方解析をシリーズ化できればよいな、と考えております。
需要が無ければ打ち切りますが...
新たな処方解析をお待ち下さい!